- テスト自体は嫌いじゃないのに、同じ作業の繰り返しで何かが積み上がっている気がしない
- きつい上につまらないと感じているのに、その理由をうまく言葉にできない
- 自分だけがこう感じているのかと、なんとなく口にできずにいる
私もSESテスターとして約10年経験した中で、同じ気持ちを何度も抱えてきました。忙しい時期も、理不尽だと感じた現場も、ただこなすだけの日々が続く中で「この仕事を続けて意味があるのか」という感覚は頭から離れませんでした。
SESテスターのきつさやつまらなさには、あなたの努力や能力とは無関係な明確な原因があります。この記事ではSES2社で約10年テスターとして働いた筆者が、SESテスターの仕事がきつくてつまらない理由を構造から解説します。この記事を読み終えた後には、今の自分の感覚に納得できると同時に次に何を考えればいいかが見えてくるはずです。

きつさ・つまらなさの原因は能力ではなく、SESの業務構造にあります。
SESテスターの仕事がきつい・つまらないのはSESの構造が原因


SESテスターとして現場に入ると、業務のほとんどがテスト実行で占められます。仕様書を読み、手順通りに動作確認をして、結果を記録する。この繰り返しが毎日続きます。
最初のうちは「仕事に慣れていないだけだ」と思えても、半年、1年と経つにつれて、慣れとは別の感覚が芽生えてきます。「これはずっと続くのではないか」という感覚です。
テスト実行8割という現場に入った瞬間から始まる閉塞感
SESのテスター業務は、参画する案件にもよりますがテスト実行が体感8割を占めています。残りの2割でテスト仕様書の作成に関わることはあっても、テスト計画の策定やテスト設計といった上流工程に入れてもらえる機会はほとんどありません。
SESという契約形態において、テスターはテスト実行要員として現場にアサインされるからです。テスト計画やテスト設計といった上流工程は発注側の社員やリーダーが担当し、テスターはその指示通りに動くことが求められます。どれだけ真面目に取り組んでも、業務の範囲は契約の範囲に縛られてしまいます。
この構造に入った時点で、閉塞感の入口に立っています。頑張り方がわからないのではなく、頑張っても業務の幅が広がらない環境にいることが、きつさの正体のひとつです。
慣れれば楽になると思っていたが、慣れても何も変わらなかった
現場に入った当初、慣れれば仕事が楽になると思っていました。実際半年もすれば業務に慣れ、現場に入ったばかりの時より効率よく仕事を進められているはずです。しかし、仕事が楽になった感覚と引き換えに業務を通して成長を実感できていない状態に陥ることもあります。
毎朝同じ時間に現場へ向かい、同じ作業をこなして帰る。その繰り返しの中で「今日は昨日より何か身についたか」と問われると、答えに詰まるようになっていきます。仕事に慣れることと、スキルが積み上がることは、まったく別の話でした。
きつい・つまらないという感覚は、あなたが怠けているから生まれるのではありません。仕事を真面目にこなしているからこそ、「このままでいいのか」という問いが生まれてきます。



仕事に慣れることと、スキルが積み上がることは別の話です。
つまらないと感じるのは当然で、あなたの感覚は正しい
テスト実行を繰り返す日々がつまらないと感じるのは、ごく自然なことです。同じ作業の繰り返しに疑問を持てる人ほど、現状に満足せず成長を求めている人だといえます。
問題はその感覚を「自分がダメだから感じるんだ」と内側に向けてしまうことです。きつさ・つまらなさの原因は、あなたの能力や姿勢ではなく、テスト実行中心という業務構造と、SESという働き方の仕組みにあります。
開発エンジニアを目指してSESに入ったけれど、 テスト業務にアサインされ続けているという方もいると思います。 その場合の選択肢はまた別の記事でお伝えします。 一方でテスト実行を続ける中で「テストという仕事はおもしろいかもしれない」 と感じ始めている方にとっては、今の単調さを抜け出した先に QAエンジニアという選択肢があります。 テスト設計・テスト計画・品質保証という上流工程の仕事は、 テスト実行とは全く違う景色を見せてくれます。
なお、開発エンジニアを目指してSESに入ったものの、テスト業務にアサインされ続けているという方もいると思います。その場合の選択肢については別の記事でお伝えします。一方で、テスト実行を続ける中で「テストという仕事はおもしろいかもしれない」と感じ始めている方には、今の単調さを抜け出した先にQAエンジニアという選択肢があります。テスト設計・テスト計画・品質保証といった上流工程の仕事は、テスト実行とは全く違う景色を見せてくれます。



テストへの興味がある人には、テスト実行の先にQAエンジニアという選択肢があります。
私がSESテスターとして感じた「きつい・つまらない」の正体【体験談】


SESテスターのきつさ・つまらなさの原因はSESの構造にあります。ただ構造の話をされても、「じゃあどうすればいいの?」という気持ちになってしまうはずです。ここでは私自身が感じてきたSESテスターのきつさ・つまらなさの正体を、体験談として話します。
何度やっても同じ作業の繰り返しがほぼ毎日続く
現場によって扱うシステムは変わっても、やることは変わりませんでした。仕様書を読んで、手順通りに動作確認をして、結果を記録する。この流れを毎日繰り返す日々が続きました。
最初のうちは、慣れれば変わると思っていました。でも1年経っても、2年経っても、業務の中心は変わりません。現場へ行くのが嫌になるというほどではなかったものの、「また今日も同じことか」という感覚は少しずつ積み重なっていきました。
そのうち、過剰に頑張ろうという気持ちは薄れていきました。単調な作業が続く上に、頑張っても評価される環境ではない。それなら自分に過度な負荷をかけず、淡々とこなすほうがいい。きつさの多くは肉体的なものではなく、終わりの見えない繰り返しの中で、仕事への熱量が静かに削られていくところにありました。
頑張っているのに誰にも気づかれない・評価されない
正直に打ち明けると、私のSESテスター時代は過度に頑張らずに仕事をこなしていました。どれだけ真面目にやっても給料は大して変わらない。その現実が見えてくると、人の仕事まで巻き取ってまで頑張る意味を感じられなくなっていきました。
具体的には、難しい作業やボリュームの多い部分は自分から手をつけず、簡単な作業を優先していました。難しい作業を抱えて残業になるのを避けたかったからです。担当した作業が早く終わりそうなときも、わざと時間をかけることがありました。早く終わらせると終わっていない人のサポートに回され、定時で帰れなくなるかもしれない。それを避けるために、終わった後も入念に見直しをして就業時間いっぱいまで使っていました。
今振り返ると褒められた働き方ではありません。ただ、当時の私にとってこれは頑張っても報われない環境で自分を守るための立ち回りでもありました。頑張りが評価につながらない環境は、人のやる気を静かに奪っていきます。



評価されないのは頑張りが足りないのではなく、評価が見えにくい環境にいるためです。
友人と会った時に、自分の仕事を説明しづらいと感じた
SESテスターを続けていた頃、学生時代の友人と久しぶりに会って飲む機会がありました。プログラマーやSEをしている友人は、自分の仕事を堂々と話していました。一方で自分が「ソフトウェアのテスターをしている」と言っても、IT業界の外にいる友人にはどんな仕事なのか伝わりにくく、説明にも困りました。
もどかしかったのは、IT業界の中にいる人の間でもテスターという職種がどこか軽く見られがちな点です。同じ開発の現場を支える仕事なのに、コードを書くプログラマーやSEは一段上でテスターはその下、という空気が業界の中に少なからずあります。テスターも品質を守るうえで欠かせない役割のはずですが、その立ち位置を堂々と語りづらい雰囲気が、確かに存在していました。
きつい・つまらないという感覚は、仕事の中だけで完結しません。自分の仕事を人に説明しづらい、胸を張りにくいという感覚として、プライベートの場面にも表れます。SESテスターを続けることへの言葉にしにくい不安は、こうした日常のふとした瞬間に出てきます。



テストは開発に欠かせない仕事なのに、業界の中でも一段下に見られがちな現実があります。
それでもSESテスターを続けた私が、ある日限界を感じた瞬間【体験談】


きつい・つまらいと感じながらも、すぐに行動できるわけではありません。私自身もそうでした。「もう少し続ければ何か変わるかもしれない」という気持ちが、なかなか動けない理由になっていました。
人に頼られると、つまらない仕事でも居心地が良くなってしまう
最初に在籍していたSESで2年近く参画していた案件の話です。他のパートナーと比べ長期間参画していたものの、給与は低いままで、スキルが積み上がる仕事でもありません。それでも、長く在籍するうちにプロパーや他のパートナー会社の人から頼りにされることが増えていきました。
長く同じ案件にいた影響もあり、仕事で頼られるとたとえ単調な仕事でも居心地が良く感じてしまうのです。大した仕事をしているわけではないのに、「もう少しこの現場でチームに貢献しようかな」と思ってしまう。評価されているかどうかとは別の次元で、その場所に留まる理由を自分で作ってしまっていました。
きつい・つまらないと感じていても、人はぬるま湯から抜け出すのは簡単ではありません。明確な不満があるのに、居心地の良さがそれを覆い隠してしまう。私が動き出せなかったのは、しんどさよりこの中途半端な心地よさのせいだったと思います。



抜け出せない理由は、しんどさよりそこそこ居心地がいいことだったりします。
一度は動こうとはしたが、どれも長続きしなかった
別の案件に移った後は仕事のつまらなさを自覚しており、そのことに対して何もしてこなかったわけではありません。一度は開発エンジニアに憧れて、月3万円ほどのオンラインプログラミングスクールを受講したこともありました。テスターより収入が高そうだというSNSの体験談に影響された部分もあったと思います。
ただ、いざ学び始めると、自分にはプログラミングで何か作りたいものが明確にあるわけではないと気づきました。目的が曖昧なまま続けられるほど甘くはなく、結局数ヶ月持たずに解約しました。
転職についても、最初は楽な方に逃げようとしていました。一緒に働いたリーダーにリファラル転職できないかを打診していたのです。転職活動そのものが面倒で、コネ入社にワンチャンス賭けていました。しかし競合避止契約の都合で、パートナー会社からプロパー会社への転職には最低数ヶ月空ける必要があると分かり、その話は実現しませんでした。本格的に転職活動を始めたのは、結局最後の案件の残り1ヶ月になってからです。動こうとする気持ちはあっても、楽な方へ逃げては立ち止まる、その繰り返しでした。
逃げてきた自分にまずいと気づいた
2社目のSESである案件に入って1、2ヶ月が経った頃に転機が来ました。30代前半でも相変わらずテスターとして働き、業務は単調で飽きていた時にふと自分の状況を冷静に考える瞬間がありました。
30代になっても、誰でもできるような仕事を年下のメンバーと並んでこなしている。大きな責任を持って仕事に臨むこともせず、ずっとプレッシャーから逃げ続けてきた。年下や仕事を下に見ていたわけではありません。同じ立場のまま責任から逃げ続けてきた自分自身に対して、このままではまずいという危機感がこみ上げてきたのです。
きつい・つまらないという感覚は、放っておいても消えません。むしろ年齢を重ねるほど、逃げてきた時間の重さだけが増していきます。居心地の良さに甘えて待ち続けること自体が一番のリスクだと気づいて、ようやく自分から動こうという気持ちになりました。今この記事を読んでいるあなたが同じ感覚を持っているなら、それはすでに動くべきタイミングが来ているサインかもしれません。
きつい・つまらないと感じる今こそ、キャリアを見直すタイミング


ここまで読んでいただいた方の中には「自分だけじゃなかった」と感じた方もいると思います。同時に「でも、だからといって何をすればいいのか」という気持ちも出てきているかもしれません。その感覚を持ったタイミングこそ、行動を考え始めるのに最適なタイミングです。
今抱いている違和感を放置すると3年後・5年後にツケを払わされる
きつい・つまらないという感覚を仕方ないと受け流し続けると、気づかないうちに時間だけが過ぎていきます。私自身がそうであり、1年が2年になり、2年が5年になる。その間に業務の中心は変わらず、年収も大きくは変わりませんでした。
退屈だ・つまらないという感覚は、現状への警告サインであり、放置すればするほど将来の選択肢が狭まっていきます。3年後・5年後に何が起きるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。





つまらないという感覚を放置するほど、将来の選択肢は狭まっていきます。
今の経験は次のステップへの土台になる
テスト実行しか経験がないと感じていても、その経験は無駄ではありません。何となくここにバグがあるのではないかと勘づく嗅覚、仕様書を読み解き仕様の曖昧さに気づく力、不具合報告書をわかりやすく書くスキル、チームの中で報告・連携する経験。これらはテスト実行の現場で自然に身についてきたものです。
「自分には大したスキルがない」という自己評価は、多くの場合正確ではありません。今の経験を土台にして次のステップへ進む道は、確かに存在します。
まず自分の現状を客観的に知ることから始める
この記事を読んだからといって、転職を決意する必要はありません。今すぐ動けない理由がある方も、自分の市場価値を客観的に知るだけで、現状の見え方は変わります。
私が最初に踏み出せたのも、転職の決意ではなく「まず自分の現在地を知ろう」という小さな一歩からでした。重い腰がなかなか上がらず、実際に転職活動を始めたのは最後の案件の残り1ヶ月になってからです。それでも、いざエージェントに登録して話してみると、担当者が思った以上に親身に話を聞いてくれました。「なぜ転職したいのか」を深く掘り下げてくれて、自分でも整理できていなかった気持ちが少しずつ言葉になっていったのを覚えています。
あなたが今感じているきつさやつまらなさは、現状を変えるための最初のサインです。その感覚を大切にしてください。




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