SESテスターとして真面目に働いているのに、年収が一向に上がらないという悩みを抱えていませんか。
- 毎年同じような年収で、昇給している実感がまったくない
- 頑張っても評価される仕組みになっていない気がする
- このまま年齢だけ重ねていくことに焦りを感じている
2社のSESで約10年テスターとして携わった私自身、同じ悩みを何度も抱えてきました。単価アップを会社に交渉したこともありますが、簡単なことではなく、おまけに年収も大きく変わることはありませんでした。
あなたの年収が上がらない原因は、努力が足りないからではありません。SESというビジネスモデルと、テスト実行という役割が持つ構造的な問題があります。この記事では、SESテスターの年収が上がらない理由を構造から解説します。この記事読み終えた後、なぜ年収が変わらないのかという問いに明確な答えが見えてきます。

年収が上がらない原因はあなたの努力不足ではなく、SESの構造的な問題にあります。
SESテスターの年収が上がらない根本的な理由


SESテスターの年収が上がらない理由は、一言で言うとテスト実行という役割とSESというビジネスモデルの組み合わせが、年収の上昇を構造的に阻んでいるからです。努力や勤続年数では解決できない仕組みがあります。
理由①: テスト実行の単価には上限がある
SESのビジネスモデルでは、客先企業がSES企業に対してエンジニアの稼働に対する単価を支払います。この単価はどの役割を担うかによって大きく変わります。
テスト実行要員としてアサインされる場合、その単価はテスト実行の市場相場で設定されます。テスト実行はソフトウェア開発と異なり比較的参入障壁が低く、要求されるスキルもそれほど高くないことが多い業務のため、市場単価が上がりにくい構造です。経験年数をどれだけ長く積み重ねても、テスト実行という役割でいる限り単価の上昇には限界があり、これは個人の努力ではなく役割が持つ構造的な制約です
一方、テスト計画やテスト設計等、テスト上流工程を担う人材の単価は別の水準で設定されます。同じテストのカテゴリーでもテスト実行かテスト計画・設計かによって、単価のテーブルそのものが変わります。この年収差はスキルよりもまず役割の違いから生まれています。
理由②: テスト実行しかできないと単価交渉の材料がない
年収を上げるためには、顧客に対して単価アップの交渉をするか、自社の担当営業に高単価の別案件を探してもらうしかありません。しかしテスト実行経験しかない状態では、この交渉において使える材料が限られます。
テスト計画・テスト設計のテスト上流工程の経験や、顧客折衝やチームマネジメントの経験があれば、より高単価の案件へのアサインや単価交渉の根拠になります。しかしテスト実行だけでは、会社側に「あなたでなければいけない理由」を示しにくい状況にはまりがちです。
なお、SES企業の中には単価そのものをエンジニアに開示しない企業もあります。その場合、仮に単価アップが実現しても、それがエンジニアの給与に反映されない可能性があります。単価と給与が連動する仕組みを持っているかどうかは、あなたが所属する会社のルール次第です。
私も最初に入社したSESは単価と給与が連動しない形態で、入社して2,3年は手取り20万前後でした。



テスト実行の場合、顧客や自社の営業の双方に単価交渉のための実績を示すことが難しいです。
【体験談】「頑張れば給与が上がる」が通用しない理由を10年かけて理解した


先ほど、SESテスターの年収が上がりづらい点について、構造的な理由を説明しました。しかし、頭では理解できても、「それでも頑張れば変わるんじゃないか?」と思っている人もいるでしょう。私自身がそう信じていた一人でありましたが、約10年かけて気づいたことをお伝えします。
真面目に働き続けても年収が変わらなかった現実
1社目のSESに入った当初、経験を積めば自然と年収は上がっていくだろうと勝手に思っていました。遅刻早退はゼロ、現場リーダーの指示通りに動き、残業が多い時期も積極的に協力して乗り越えました。忙しい時期には月45〜60時間の残業をこなした時期もありましたし、日勤と夜勤を2週間ごとにローテーションする時期もありました。
それでも、手取りで少々の残業代しか上乗せはなく、年収単位ではさほど変わりはありませんでした。このことから、真面目に働くことと年収が上がることは、SESのテスター業務においては直結しないという考えにいます。
頑張りが報われないというより、頑張りが年収に反映される仕組みそのものが存在しておらず当時の私は単価という言葉を知らず、受け入れ先のプロパーの人に単価のことを教えられて初めて認識することになりました。



真面目に働くことと年収が上がることは、SESテスターの業務では直結しない構造になっています。
単価交渉した時に感じた限界
ある時、勇気を出して会社の営業担当に単価アップを打診したことがありました。しかし営業からの返答は「今の案件でテスト実行しかやっていない状態では、単価アップの交渉材料がない」というものでした。客先企業に対して「この人でなければいけない理由」を示せないため、単価アップを要求する根拠が作れないという現実を突きつけられた形です。
その上で営業から「どうしても単価アップを実現したいなら、案件から離脱するかもしれないという姿勢を見せるという最終手段がある」と告げられました。ただし営業自身もこの方法を積極的に勧めてはいませんでした。何回も使える手段ではない上、プロパー側への印象も悪くなるリスクがつきものです。実際、そうした交渉は会社間で長期的な信頼関係を損なう可能性があり、将来的に参画する人たちにもネガティブな影響を与えてしまいます。
さらに深刻なケースとして、単価アップが実現しても給与がほとんど変わらないという経験をした人もいます。SESの中には単価をエンジニアに開示せず、単価が上がっても給与への反映を曖昧にしたままにするところもあるのが現実です。単価交渉が実を結んだとしても、その恩恵がエンジニア本人に届かない構造になっている企業では、交渉自体が徒労に終わります。
テスト設計に関わり始めて感じた評価の変化
2社目のSESに転職し、幸運にもテスト設計や上流工程に関わる機会が少しずつ増え、テスト方針の策定や新メンバーの研修補助に携わる中で、それまでとは違う感覚が生まれてきました。
テスト実行をこなしていた頃は指示された通りに動くという感覚が強く、自分が何かに貢献しているという実感が薄かったです。しかしテスト設計やテスト方針策定に関わるようになると、自分の判断や意見が品質に直結しているという感覚が生まれ、この時から仕事の重みが変わったな実感し始めました。
また、テスト実行担当の頃は問題なくこなして当然という空気の中で働いていましたが、上流工程に関わるようになるとお客様から「あなたの観点があってよかった」という言葉をもらえる機会が明確に増えました。仕事内容が変化したことで、仕事の手触りがここまで変わるとは思っておらず、思わぬ収穫があったという気持ちです。



担う役割が変わると、評価される感覚そのものが変わってきます
【図解】SESテスターが年収300万円台に収まり続ける構造


なぜ頑張っても年収が変わらないのかという問いへの答えが、図を見ることで一目でわかるよう図解で整理します。
SESテスターに渡るお金の流れ
SESテスターの年収がどのように決まるかを、お金の流れで整理すると以下のようになります。


エンドクライアントが支払った金額は、客先企業・SES企業それぞれがマージンを差し引きながら下の階層へ流れていきます。テスター本人に届く頃には、元の金額から大幅に減少しています。この階層が深くなるほど、エンジニアへの還元率は下がっていきます。
ここで重要なのは、SES企業が客先から受け取る単価そのものが、テスターの担う役割によって決まるという点です。テスト実行要員としてアサインされている限り、この単価は低い水準に設定されやすく、マージンを差し引いた後にテスター本人に届く金額も限られます。どれだけ真面目に働いても、役割が変わらない限りこの流れは変わりません。
なお、単価と給与が連動しないSESで単価をエンジニアに開示していない場合、実態はさらに不透明なことがあります。
テスト実行という役割が年収の天井を決めている
年収の上限は役割によって決まります。同じテスト業界でも、担う役割によって年収のレンジが以下のように変わります。
なお、テスター・QAエンジニア・テストエンジニアなど、同じテスト業界でも呼び方は企業によって様々です。名称と仕事内容が密接に対応しているわけではなく、求人票にテスターと書いてあってもテスト設計まで担うケースがあれば、QAエンジニアと書いてあってもテスト実行が中心という場合もあります。以下の年収レンジはあくまで担う役割・業務内容を基準にした目安です。
| 所属 | ポジション | 給与レンジ |
|---|---|---|
| SES | テスター、テスト実行者 | 約300万〜400万 |
| テストベンダー、SIer | QAエンジニア | 約400〜450万 |
| QAリーダー | 約500〜600万 | |
| QAマネージャー | 約600〜800万 | |
| 事業会社 | QAエンジニア | 約500〜600万 |
| QAマネージャー | 約600〜800万 |
様々な求人サイトの募集要項を整理、各ポジションが担う役割を簡単に説明します。
テスター、テスト実行者は、仕様書に基づいてテストを実行し、結果を記録・報告する役割です。SESテスターとして現在担っている業務がこれにあたります。
テストベンダーやSIerのQAエンジニアは、テスト実行の一歩上流に位置するポジションです。テストの目的や範囲、テストのアプローチを決めるテスト計画や、テスト技法を用いたテストケースの設計を担います。また、テスト実行時はテスト実行メンバーの取りまとめを行うこともあります。
QAリーダーは、テスト設計者としての業務に加え、テストチーム全体の業務管理・顧客折衝・プロジェクト全体の品質保証の方針決定まで担います。テストの実務だけでなく、チームと顧客の間に立つマネジメント的な役割も求められます。QAマネージャーは複数プロジェクトをまたいで品質保証の戦略を立てる上位のポジションです。
テスト実行という役割のまま年数だけ重ねても、年収のレンジは水準から大きく動きません。上のレンジに入るためには、役割そのものを変える必要があります。
年収を上げるために必要なのは、勤続年数でも交渉力でもなく、担う役割を変えることです。
年数を重ねても年収が変わらない理由
年収を変えるには役割を変える必要があります。この記事全体を通じて伝えたいことは、この一点に集約されます。
テスト実行という役割のまま年数だけ重ねても、年収のレンジはテスター・テスト実行者の水準から大きく動きません。転職市場において年収を左右するのは何年やったかより何ができるかだからです。
テスト実行を3年続けた人と5年続けた人の間に、テスト設計の経験がなければ転職市場での評価は大きく変わりません。年数が増えても役割と担えるスキルが変わらなければ、年収レンジも変わらないのが現実です。



年収を変えるには役割を変える必要があります。この一点が記事全体を通じて伝えたいことです
このまま続けると年収はどうなるか


SESテスターとしてこのまま5年・10年とテスト実行を続けた場合、年収はどうなるのでしょうか。年齢を重ねるごとに何が変わるかを整理していきます。
30代・40代のSESテスターの年収の現実
20代くらいまではテスト実行経験だけでも若さとポテンシャルという武器があります。しかし30代に入ると転職市場での見られ方が変わり、40代になるとその傾向はさらに強まります。
テスト実行経験しかない状態で30代・40代を迎えた場合、年収は現状の280〜350万円前後から大きく動かない可能性が高いです。SESのビジネスモデル上、テスト実行要員の単価は年齢に比例して上がる仕組みにはなっていないからです。むしろ年齢が上がるにつれてテスト実行しかできない30代・40代という評価になりやすく、より高単価の案件へのアサインが難しくなっていきます。
テスト実行経験だけでは市場価値が上がらない
転職市場での市場価値は、経験年数ではなく経験内容で決まります。テスト実行を5年続けた人と10年続けた人の間に、テスト上流工程の経験がなければ転職市場での評価は大きく変わりません。
ソフトウェアテストに関する求人票を見ると、テスト計画・設計の経験・品質改善提案といった上流工程の経験が共通して求められる傾向があります。テスト実行経験のみでは、これらの条件を満たせず書類選考で弾かれるケースが増えていきます。年齢が上がるほど即戦力としての水準が求められるため、テスト実行経験だけでは応募できる求人の選択肢が年々狭まっていきます。



年齢が上がるほど即戦力水準が求められ、テスト実行経験だけでは選択肢が狭まっていきます。
「いつか動こう」が一番高くつく理由
「年収が低いのはわかっている。でも今は忙しいし、余裕ができたら動こう」という気持ちで時間が過ぎていくことが、実は最もコストが高い選択です。
20代までは、転職市場においてポテンシャルと経験が両立できる時期です。この時期に動けなかった場合、30代以降は即戦力として評価される水準が上がり、テスト実行経験だけで書類選考を通過できる求人が急減します。年収が低いまま過ごした年数が長くなるほど、将来的に取り戻せる年収の総額も減っていきます。
「今は忙しい」「もう少し準備してから」「転職は怖い」という気持ちはよくわかります。しかしその先延ばしの積み重ねが、将来の選択肢を静かに狭めていきます。年収が変わらない環境にいることは現状維持ではなく、じわじわとしたリスクの蓄積です。
年収を変えるための最初の一歩


ここまで読んでいただいた方の多くは「このままではまずい」という感覚が出てきているかもしれません。ただ、この記事を読んで終わりにせず、SESテスターの年収構造を理解した上で、今できる最初の一歩をお伝えします。
年収が変わらない環境にいることのリスクを認識する
年収が変わらないことは現状維持ではありません。年齢が上がるにつれて転職市場での選択肢が狭まっていくため、時間の経過とともにリスクは積み上がっていきます。
「いつかやろう」という先延ばしが最もコストが高い選択であることを、まず認識することが最初の一歩です。準備が完璧に整ってから動く必要はありません。今できることから始めるだけで十分です。
今の環境でテスト設計に関われないかを確認する
転職を検討する前に、今の環境でできることがひとつあります。現在アサインされている案件でテスト設計に携われる機会がないかを、現場リーダーや自社の営業担当に確認してみることです。
テスト設計にも関わってみたいという意思を伝えるだけで、機会が生まれることがあります。また自社の営業担当にテスト設計に携われる案件に移りたいと打診することも有効です。今の会社にいながらテスト設計の経験を積むことができれば、転職活動でのアピール材料が増え、より有利な条件での転職につながります。
ただし案件の都合上、テスト設計はテストベンダーの社員で担当し、SESテスターに回ってこないケースも少なくないです。現場や自社の営業に打診して状況が変わらない場合は、環境を変えることを前向きに検討するタイミングと捉えてください。
まず自分の市場価値を知ることから始める
年収を変えるための最初の一歩は、今の自分の市場価値を客観的に知ることです。
市場価値を客観的に知るための方法は2つあります。
まずは自分のペースで情報収集したい方は、転職サイトへの登録から始めることをおすすめします。doda・リクナビNEXT・マイナビ転職などに登録すると、QAエンジニアの求人を実際に見ることができます。自分のような経験でも応募できる求人があるかを確認するだけでも、転職の現実感が大きく変わります。誰とも話す必要はなく、自分のペースで情報収集できます。
転職エージェントへの相談に抵抗がない方は、ITエンジニア特化型エージェントへの登録をおすすめします。担当者との無料面談を通じて「テスト実行経験しかない自分が転職市場でどう評価されるか」「年収を上げるために何が必要か」を具体的に把握できます。登録後に転職しないという選択も自由です。
どちらの方法も無料で始められます。まず情報を集めるだけでいい、という気持ちで動き始めてください。



転職を決意しなくてOKです!まず自分の市場価値を知るだけで現状の見え方が変わります。
どちらの方法も無料で始められます。まず情報を集めるだけでいい、という気持ちで動き始めてください。
転職準備として具体的に何から始めればいいかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。





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